高校ラグビー世代の国際大会「サニックスワールドラグビーユース交流大会」は、決勝トーナメントに突入。プール戦を1位で突破した大阪桐蔭(大阪)と桐蔭学園(神奈川)が5月3日、それぞれ決勝進出をかけて南半球の強豪と対戦しました。

大阪桐蔭・名取凜之輔主将「今まで経験したことがない攻めだったが、全員が集中してディフェンスできた」

 選抜大会に続くタイトル獲得へ。大阪桐蔭は、ラグビー王国ニュージーランドのサウスランドボーイズハイスクールと対戦。プール戦で東福岡(福岡)、国学院栃木(栃木)に勝利した強豪に対して、前半は優位に試合を進めます。立ち上がりからテンポよくボールをつないで、サウスランド陣内22メートルラインの内側に攻め込むと、ラインアウトからのモールを一気に押し込み、HO光安翔平選手がトライ。ゴールも決めて7点をリードします。さらに9分、またしてもゴール前のラインアウトを押し込むと、そこからリズムよく攻撃を重ね、最後はPR川相喜由選手がトライ。16分にもPGを加えた大阪桐蔭は、17対0と大きくリードを奪います。

 大阪桐蔭の鋭い出足としつこいディフェンスの前にペナルティーが重なり、なかなかペースがつかめなかったサウスランドボーイズ。前半終了間際にようやく反撃します。バックス陣のダイナミックな展開で大阪桐蔭陣内深くに攻め込むと、ラインアウトからのモールを押し込んでから、FW陣が力強く前進し、最後はテイン ウィジー選手がトライ。17対7と10点差に追い上げて前半を折り返します。

 さらに後半2分、今度は、大阪桐蔭ラインアウトのボールをキャッチしたジェイク エバンス選手が30メートル以上を走り切ってトライ。難しい角度のコンバージョンキックをミカ ムリアイナ選手が決めて17対14と、3点差に迫ります。この後、逆転を狙ってさらに激しさを増すサウスランドの攻撃。大阪桐蔭がぎりぎりのところでしのぐ時間帯が続きます。白熱の展開の中、スコアしたのはサウスランドボーイズでした。17分、ミカ ムリアイナ選手がPGを決めて17対17。ついに同点に追いつきます。

 大きなリードを追いつかれた大阪桐蔭。それでも選手たちは冷静でした。後半21分、SO上田倭楓選手のキックで敵陣深くまで攻め込むと、そこから素早くリスタート。全員が休まず攻撃を仕掛け、最後はLO泊晴理選手がトライ。ゴールも決めて24対17。残り10分を切ったところで再び7点のリードを奪います。ここからはまさに死闘、ボールをつないで責め続けるサウスランドボーイズに対して、一人一人が体を張って耐える大阪桐蔭。息詰まる攻防が続きます。

 それでも、「今まで経験したことがない(サウスランドボーイズの)攻めだったが、全員が集中してディフェンスできた」と名取凜之輔主将が話したように、ベンチの全員が立ち上がって声援を送る中、ミスなく攻め続けるサウスランドボーイズに最後までゴールラインを割らせませんでした。敗れたサウスランドボーイズの選手が崩れ落ちて座りこむほどの激戦を制した大阪桐蔭。24対17で競り勝って、日本チーム初のタイトルに向けて決勝進出です。

桐蔭学園・申驥世主将「とにかく、最後は前に出ることを意識していた」

 準決勝もう1試合は、桐蔭学園(神奈川)が、プール戦で石見智翠館(島根)と東海大相模(神奈川)を下したオーストラリアのセントオーガスティンズカレッジと対戦。「強い相手と戦えるのは本当に楽しみ」と申驥世主将が話していた桐蔭学園が、グラウンドを広く使い、一人一人がしっかりと前に出る攻撃を見せて、後半9分までに4つのトライを奪って22対10とリードします。

 しかし、ここからセントオーガスティンズが反撃。後半22分に1トライを返すと、25分には自陣からボールをつなぎ、最後はFW陣が粘り強く押し込んでトライ。22対22の同点に追いつきます。ただ、逆転を狙ったコンバージョンキックはポールにあたって跳ねかえり、ゴールならず。同点のままロスタイムに突入します。

 なんとか逆転をまぬかれた桐蔭学園。「この試合に勝てば、桐蔭学園として(この大会)初めての決勝進出。とにかく、最後は前に出ることを意識していた」と申主将が話したように、ここが最後の勝負と全員が連動して攻め続けます。そして後半32分、FW陣が縦をついた後大きくて展開して、最後はWTB石崎悠生選手がトライ。ラストワンプレーで勝ち越した桐蔭学園が29対22で競り勝って、大阪桐蔭の待つ決勝に進出しました。

 決勝戦は、大阪桐蔭と桐蔭学園の東西両雄の対決。日本勢として(日本チームだけで開催された2022年の大会を除いて)この大会初のタイトルを獲得するのはどちらのチームか。注目の決勝戦は5月5日(日)、午後2時10分キックオフです。
                      
 (MBSスポーツ解説委員 宮前 徳弘)